開催日:2025年3月16日
会場:いなべモータースポーツランド
天候:雨
路面状況:ウェット
JAF全日本ダートトライアル選手権の2025シーズンが開幕。初戦はダートトライアルの全日本戦が初開催となる三重県のいなべモータースポーツランドで行われた。当日は雨に見舞われ、路面は終始ウェットコンディション。滑りやすいコースに各クラスのドライバーたちは苦戦し、二本目のタイムが大幅に悪化する展開となった。一本目で好タイムを残した選手が、そのまま優勝を決めるケースが多く見られた。
今回は路面コンディションによる競技の遅延を最小限とするため、通常の出走順ではなく、N→SA2→SC→D2→PN1→PN2→PN3→SA1→D1という出走順で出走することとし、選手と合意の上競技が行われた。
Nクラス:宝田ケンシローが安定の速さで優勝!山崎利博が驚異の巻き返し

Nクラスは一本目が大雨に対し、二本目が小康状態と路面の変化が激しかった。そんな中、宝田ケンシロー(YHオクヤマFT小松GRヤリス)が1’24.891のトップタイムを記録し、二本目も1’25.514と安定した走りで優勝を決めた。
しかし、このクラスで最も驚異的だったのは山崎利博(DLレプソルNTPT GRヤリス)の巻き返し。一本目は11位(1’32.750)と低迷したが、二本目で1’26.177を叩き出し、一気に2位へ浮上。悪条件の中でのジャンプアップを果たした。
SA2クラス:黒木陽介が一本目で決める!増村淳が9位から5位へジャンプアップ

黒木陽介(MJT五十嵐クスコDLGヤリス)が皆から「ため息が出るほどの走り」と言われる圧巻の走りを見せ、1’22.728で堂々のトップ。二本目はリスクを避けて走らずD.N.Sとなったが、十分なリードのためそのまま一本目のタイムで優勝。
2位の三浦陸(YHレプソル藤大ミカサランサー)は、昨年のNクラスのシードゼッケンを捨ててのSA2クラスへのチャレンジ。SA-X車両化した車で経験の少ない苦手なウエットという条件を跳ね除け、一本目に出した1’23.751というタイムで堂々の2位入賞を果たした。
SCクラス:上村智也が地元の意地を見せる。平塚忠博が久しぶりの表彰台

一昨年のチャンピオン上村智也選手(JURAN itzz YHランサー)が1本目で1’28.034を叩き出し、他を寄せ付けずベストタイム。2本目、タイムアップが望めないことをわかっていながらファンのために出走、タイム更新はならなかったが、1本目の好タイムが決め手となり見事優勝。
2位にはベテラン平塚忠博選手(スマッシュダンロップランサー)がベテランらしく悪条件を走り切り久しぶりの表彰台。
目黒亮選手(CUSCO DL GRヤリス)は3位、昨年のチャンピオン亀田幸弘選手(YH栗原オート企画インプレッサ)は4位と、今年もシリーズ展開も荒れる予感のスタートとなった。
D2クラス:鎌田卓麻が圧倒的な速さで制覇

D2クラスはシード勢が圧倒的な速さを見せる中、鎌田卓麻(CastrolTEIN BRZ)が1’21.289を記録し、トップを確保。二本目は1’37.211とタイムを落としたものの、一本目のアドバンテージで優勝を決めた。
2位は田口勝彦(HKSランサーエボリューション)で、1’21.473から二本目1’23.558と安定したタイムを残した。
3位の炭山裕矢(ZEALbyTS DLミラージュ)も一本目1’21.579というタイムもだが、二本目圧巻の1’22.111と言うタイムをたたき出し表彰台を獲得した。
PN1クラス:飯島千尋が一本目で圧倒!二本目は雨で大荒れ

PN1クラスは飯島千尋(Moty’s☆DLスイフト神速)が1’35.209で一本目を制し、そのまま優勝。しかし、二本目は2’04.914と大幅に悪化し、悪天候の影響を最も受けたクラスの一つだった。
2位の南優希(DLスノコ藤大ミカサスイフト)は一本目1’35.621、二本目1’40.683と比較的安定。3位には九州のベテラン水野喜文(OT☆DL☆SPM☆スイフト)が久しぶりに表彰台をゲット。
PN2クラス:佐藤卓也が一本目の速さで独走

PN2クラスは佐藤卓也(DLΩKYBオクヤマ・スイフト)が1’29.651で一本目トップ。二本目は1’45.076と苦戦したが、優勝を決めた。
2位は今年からシードゼッケンとなった北海道の張間健太(DLクスコWM・ラブカスイフト)が1’30.476というタイムで割って入り、3位の奈良勇希(ブリッドDLレプソルスイフト)はPN1クラスからの移籍というハンディを跳ね除けて表彰台を獲得した。
PN3クラス:加藤琢がGR86勢を抑えBRZで優勝

PN3クラスは加藤琢(GネモトファインクラフトBRZ)が1’38.653でトップに立ち、そのまま優勝。ZC6(旧型BRZ)でGR86ら新型勢を下した。
GR86勢の中では竹本幸広(YH・KYB・スラパ・GR86)が1’38.913で2位、徳山優斗(ADVANオクヤマFTGR86)が1’39.019で3位と健闘した。
ウェットコンディションで新型と旧型の性能差が見えにくくなり、ドライバーの技量が試された一戦だった。
SA1クラス:福山重義が快走!二本目は全体的にタイム悪化

SA1クラスは福山重義(K1・スーパーG・YHスイフト)が1’33.143で一本目トップ。二本目は1’54.297と大きくタイムを落としたが、他の選手も同様に悪化したため逃げ切り優勝。自身9年ぶりの全日本戦優勝となった。
2位の葛西キャサリン伸彦(YHATSGCスイフト)は二本目D.N.Sだったが一本目のタイムで入賞、AT車でMT車殺しを実践してみせた。
3位の中島孝恭(TEINルブロスDLスイフト)は一本目1’34.784→二本目1’42.969とタイムダウンしたが、表彰台を確保した。
D1クラス:山下貴史が一本目トップで勝利

D1クラスは山下貴史(YHセラメタμnagi FTO)が1’28.533で一本目ぶっちぎりのトップ。二本目はD.N.Sで出走せず
2位の昨年度チャンピオンの山崎迅人(YHマックスゲンシンミラージュ)も1’30.444→D.N.Sで勝負を一本目で決める展開となった。
3位の深田賢一(BFAベリティYHセラシビック)は唯一二本目出走するも1’37.575と悪天候に苦しんだ。
総括:雨とウェット路面が順位を決定づけた開幕戦
今大会は悪天候の影響で二本目のタイムが軒並み悪化し、一本目の結果がそのまま優勝に直結する展開となった。一部のドライバーは二本目のタイムを縮めて順位を上げる健闘を見せたが、全体的に厳しいコンディションの中での戦いだった。次戦以降、晴天でのリベンジに期待したい。
リザルト
Class | Name | Car | Best Time |
---|---|---|---|
PN1 | 飯島 千尋 | Motys☆DLスイフト神速 | 1’35.209 |
PN2 | 佐藤 卓也 | DLΩKYBオクヤマ・スイフト | 1’29.651 |
PN3 | 加藤 琢 | GネモトファインクラフトBRZ | 1’38.653 |
N | 宝田 ケンシロー | YHオクヤマFT小松GRヤリス | 1’24.891 |
SA1 | 福山 重義 | K1・スーパーG・YHスイフト | 1’33.143 |
SA2 | 黒木 陽介 | MJT五十嵐クスコDLGヤリス | 1’22.728 |
SC | 上村 智也 | JURANitzzYHランサー | 1’28.034 |
D1 | 山下 貴史 | YHセラメタμnagi FTO | 1’28.533 |
D2 | 鎌田 卓麻 | CastrolTEIN BRZ | 1’21.289 |
ご注意
本レポートおよび結果表はJDCEAが独自に取材・入手したもので、JAFの公式発表ではありません。内容に誤りや他の発表と異なる場合がありますので、参考資料としてご覧ください。